平成22年3月の業界情報 (先月の動向)
(1) 木の無垢材以外は調湿機能は望めないのでしょうか?
☆ 室温が上がれば室内は乾燥し、逆に室温が下がれば湿度は上がります。
☆ 木材の含水率は湿度と平衡しようとして吸湿し、周囲の空間から水蒸気利を取り込みます。
☆ 木材の湿気保持能力は空気中の湿気保持能力に比べて著しく大きいので、室内の湿度をほぼ一定に保つことができます。
☆ 無垢材だけではなく、集成材・合板・MDFのような木質ボードでも効果に差はありません。ただし、表面を塗膜するような仕上げをすれば調湿能力は発揮しません。
☆ 湿度変動で水分が出入りするのは、木材の表面からわずか2〜3mm程度の深さまでです。つまり、厚さ5〜10mm程度の板を使えば調湿能力は十分ということになります。
☆ 調湿効果を発揮させるには、室内の容積に比べて木質面の表面積を広くすることです。
(2月1日 大阪木材仲買協同組合記事から抜粋)
(2) 日本木造住宅耐震補強事業協同組合が無料耐震診断
受診促す「広告物」も配布
☆ 1月17日から3月31日まで、全国500万世帯に耐震診断の受診を促す広告物を配布して、木造住宅の耐震診断率(全国平均5%)を向上させるため、無料耐震診断を実施しています。
(2月3日 林業新聞社記事より)
(3) 日本建築学会 歴史的な転換 − 木材の積極的利用提言
☆ 木材の積極的利用・森林を長期計画に基づき利用・育成することを掲げました。
☆ 日本建築学会は1959年に「防火、耐風水害のための木造禁止」決議を出して以来の歴史的な転換です。
(2月3日 林業新聞社記事より)
(4) 中古住宅時のリフォームについて − 不動産業者に対するアンケート
☆ 買主からリフォームの相談をされたことがありますか?(回答数136業者)
相談されたことがある |
89% |
相談されたことはない |
11% |
☆ 買主からリフォームの相談をされた際に、どのような対応をされていますか?
自社対応 |
36% |
提携リフォーム業者が対応 |
35% |
知り合いのリフォーム業者へ打診 |
34% |
買主がリフォーム業者を探す |
5% |
☆ 中古住宅購入時がリフォーム実施のタイミングとなっています。
不動産業者が買主からリフォームの相談を受けるケースは全体の約9割。
ほとんどのケースで買主がリフォームを考えています。
買主は、中古住宅購入時にリフォームを同時に行なおうとしています。
☆ 不動産業者からのリフォームの提案が少ないようです。
(2月3日 林業新聞社記事より)
(5) 2009年着工戸数788,410戸(27.9%)
分譲マンション58%減少
12月分の新設住宅着工戸数69,298戸(対前年同月比15.8%減)
13ヶ月連続で減少
利用別
持家 |
24,036戸 |
対前年同月比3.0%増 |
貸し家 |
29,604戸 |
22.7%減 |
分譲住宅 (内マンション) |
14.510戸 |
27.4%減 47.0%減 |
一戸建て |
|
2.1%減 |
地域別
近畿圏 |
対前年同月比21.8%減 |
首都圏 |
17.7%減 |
中部圏 |
18.7%減d>
|
(2月5日 東洋木材新聞記事から抜粋)
(6) 建築確認 手続き改善 − 3月末公布、6月に施行へ
軽微な変更対象拡大 設備図面提出も不要
☆ 国土交通省は建築基準法を改正し、建築手続きの運用を改善します。
☆ 軽微な変更の対象を拡大することで、申請し直す手間を省きます。
☆ 建築設備の図面提出なども不要とします。
☆ 住宅性能評価、長期優良住宅の認定についても、建築確認申請と重複する資料を省いて、設計内容説明書の簡素化を図っています。
☆ 運用改善のポイントは、「建築確認申請の迅速化」「申請図書の簡素化」「厳罰化」の3点です。
(2月10日 林業新聞社記事より)
(7) 国産材比率 昨年上昇し7割目前 − 製材用素材(丸太)
着工減で入荷13%減 − 外材、米材除き20%強減
☆ 農林水産省が公表した平成21年の製材用素材(丸太)入荷量は、前年比13.4%の減少となりました。
☆ 国産材は8.5%減で、国産材比率は69.0%となりました。
☆ 外材は、米材が前年比83.0%、南洋材が74.1%、ニュージーランド材が72.4%減、ロシア材が55.9%でした。
☆ 米材の外材に占める比率はさらに高まり、77.1%と前年より5.2%ポイント上昇しました。
(2月10日 林業新聞社記事より)
(8) 平成21年新設住宅 45年ぶり80万戸割る
分譲住宅、前年比43%減 − 大都市圏の落ち込み甚大
☆ 80万戸を割り込んだのは、1964年の75万1429戸以来45年ぶり。
☆ 首都圏29.3%減、中部圏30.1%減、近畿圏が26.7%減。
(2月10日 林業新聞社記事より)
(9) 耐震診断基本データ(平成18年4月1日〜平成21年11月30日)
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合調査
耐震診断14,145件の耐震診断結果
対象家屋 : 昭和25年〜平成12年5月までに着工された木造在来工法2階建て以下の建物
耐震診断結果(基本データ)
|
割合 |
平均築年数 |
1.5以上 倒壊しない |
2.34% |
15.16年 |
1.0〜1.5 一応倒壊しない |
12.77% |
20.27年 |
0.7〜1.0 倒壊する可能性がある |
24.54% |
25.61年 |
0.7未満 倒壊する可能性が高い |
60.35% |
30.99年 |
合計 |
|
27.93年 |
耐震診断結果(昭和55年以前の建物)
|
割合 |
平均築年数 |
1.5以上 倒壊しない |
0.25% |
34.12年 |
1.0〜1.5 一応倒壊しない |
5.23% |
35.98年 |
0.7〜1.0 倒壊する可能性がある |
20.09% |
35.98年 |
0.7未満 倒壊する可能性が高い |
74.43% |
37.98年 |
合計 |
|
37.44年 |
耐震診断結果(昭和56年以降の建物)
|
割合 |
平均築年数 |
1.5以上 倒壊しない |
4.28% |
14.13年 |
1.0〜1.5 一応倒壊しない |
19.79% |
16.49年 |
0.7〜1.0 倒壊する可能性がある |
28.67% |
18.85年 |
0.7未満 倒壊する可能性が高い |
47.26% |
20.78年 |
合計 |
|
19.09年 |
☆ 約85%が現在の耐震基準に適合していません。
☆ 昭和56年以降の建物でも約75%は現行の耐震基準に適合していないことも明らかになりました。
(2月10日 林業新聞社記事より)
(10) 耐震診断受診者への中古住宅の流通に関するアンケート調査結果
回答数286件
旧診断基準での場合(対象件数108件)
旧診断基準(平成17年1月〜平成18年3月)
評点 |
割合 |
平均築年数 |
1.5以上 安全です |
14.81% |
16.06年 |
1.0〜1.5 一応安全です |
18.52% |
19.00年 |
0.7〜1.0 やや危険です |
30.56% |
24.55年 |
0.7未満 倒壊または大破壊の危険あり |
36.11% |
31.23年 |
合計 |
|
24.68年 |
平均評点 |
0.906 |
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新診断基準での場合(対象件数178件)
新診断基準(平成18年4月〜平成21年11月)
評点 |
割合 |
平均築年数 |
1.5以上 倒壊しない |
6.18% |
19.91年 |
1.0〜1.5 一応倒壊しない |
10.67% |
18.32年 |
0.7〜1.0 倒壊する可能性がある |
26.97% |
25.21年 |
0.7未満 倒壊する可能性が高い |
56.18% |
28.56年 |
合計 |
|
26.02年 |
平均評点 |
0.906 |
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(2月17日 林業新聞社記事より)
(11) 耐震補強 府木連モデル 特許出願
☆ 社団法人大阪府木材連合会と京都大学が、1月15日と21日に「間伐材活用耐震補強工法の実証震動実験」を行ないました。
☆ 2日間の実験を終えた府木連は2月12日に特許を申請しました。
☆ 「家は損壊しても命は助かる」を主眼に費用を抑えて開発した府木連モデルは、従来の助成対象となる「シェルター方式」とは若干異なり、一部屋そのものを耐震補強によって「シェルター化」したもので、生活空間がそのまま確保できます。
(2月21日 東洋木材新聞記事から抜粋)
(12) リフォーム 50〜60代が発注者 − 中古住宅購入者が増
☆ 住宅リフォーム推進協議会が「平成21年度住宅リフォーム実態調査報告書」を発刊しました。
☆ 平成20年1〜12月までに竣工された物件を対象としています。
☆ 戸建・マンションともに築年数の経過した住宅のリフォームが増加傾向にあります。
☆ マンションは従来新しい物件でのリフォームが多かったのですが、築20年以上の占める割合が戸建住宅と同様の6割となりました。
☆ 大規模なリフォームは減少傾向にあります。
☆ 戸建住宅で300万円以下のリフォームが増加しました。
☆ 戸建・マンションとも1000万円以上のリフォームが減少しています。
☆ 工事発注者は50〜60代が中心です。
☆ 30〜40代に取得した住宅を定年前後にリフォームするケースが多いようです。
☆ ほとんどの施主が自己資金で賄っています。
☆ 戸建住宅で中古住宅を購入したケースが大幅に増加しました。
☆ 工事者の選定では、会社の信用・知名度が重視される傾向に変化はありません。
☆ 工事の質・技術を重視する傾向が調査の回を追うごとに高まっています。
☆ 税制優遇措置・公的補助の利用率は上昇しているようですが、依然1割程度のようです。
(2月24日 林業新聞社記事より)
(13) 国交省 リフォームで「消費者保護」 − 瑕疵保険制度整備も
弁護士会が無料相談
☆ 国土交通省は、4月1日からリフォーム工事の消費者保護を実施します。
☆ リフォーム工事の見積もり価格をアドバイスする制度を創設します。
☆ 全国各地の弁護士会が無料相談に応じるサービスも実施します。
☆ リフォーム工事瑕疵保険制度についても近く整備される予定です。
☆ 住宅リフォーム・紛争処理支援センターに対し、見積もりや工事内容を電話で相談したりすることができるようにします。
(14) 森林総合研究所 「産地判別技術」を開発
炭素同位体の変動を適用
☆ 木材の産地を100〜300kmの誤差で判別することが可能です。
☆ これにより、産地偽装材・違法伐採材を検出することができるようになります。
(2月24日 林業新聞社記事より)
(15) 耐震診断実施家屋の世帯主の年齢・同居人数・家族構成
アンケート回答数274件 (日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の調査)
☆ 世帯主の年齢
30〜39歳 |
5.47%% |
40〜49歳 |
14.60% |
50〜59歳 |
33.21% |
60〜69歳 |
31.02% |
70〜79歳 |
13.50% |
80歳以上 |
2.19% |
☆ 同居人数
一人暮らし |
5.47% |
2人 |
32.48% |
3人 |
26.28% |
4人 |
23.36% |
5人 |
8.03% |
6人以上 |
4.38% |
☆ 家族構成
配偶者と同居 |
83.21% |
子どもと同居 |
55.11% |
親と同居 |
16.06% |
一人暮らし |
5.47% |
その他親戚と同居 |
0.73% |
(2月24日 林業新聞社記事より)
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